江戸時代初期より伝わる武芸十八般のうちのひとつ、針施術手裏剣の使い手でもあるくノ一塩谷由衣菜は、対する子への禁じ手「諸刃二刀歯術」をものの見事にやってみせる。
子が騒いでじだんだ踏む途端にその両手にはナギナタを握るかのごとく瞬く間に短い棒を取り上げ、一挙先決その歯を磨き上げる。
塩谷由衣菜いわくこの技法の最大の弱点は、ちゃんと汚れを落とすことができない点なのだとか。
確かに両手にその短い棒を持てば手先の細かいところまで歯の汚れを落とすことはできずに、もう一度一人ずつやり直すこともしばしばあるのだとか。
とにかく皆を驚愕させたのは目にも止まらないこの速さ故の圧倒的な支配力だ。
これを物理学者寺田寅彦の目に入るや否やそれはおそらくこう言うだろう、
「非常な目にも止らぬ速度で、空を蔽ふ森を薙ぎ立てるのである」
それはきっとため息の出るように、言い捨てては消えていくに違いない。
問答無用のこの技法は日々四人の子と格闘する塩谷由衣菜だからできる技なのかもしれないが、今後はこの技を練り、精進していくようだ。
ではまた!
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